Nikon「Zfc」レビュー


「時代は巡る、Z Fusion。」

聴くべきじゃなかった。触れるべきでもなかったんだ。

シャッター音が 心に響いた、ダイヤルの感触が心を揺らした

ただ、それだけだったんだ。


|Z fc の良いところ


・デザインがおしゃれ。
    -金属ボディにアルミ削り出しのダイアル

・オールドレンズが似合う。
    -古いレンズと見た目の相性がいい。

・クリエイティブピクチャーコントロールを搭載
    -フィルム調の色をカスタムして遊べる


|Z fc で撮影





とりあえず、AI Nikkor 50mm f/1.4 S という 40年前に発売されたレンズをつけて撮影。

JPEG撮って出しの写真ですが・・・普通にいい

階調の描き方というか、光の捉え方というか、色の雰囲気というか、気持ちの良い絵が撮れてる 感じがする。


|Z fc との出会い


時間はさかのぼり、Z fc発表時。

ネットで画像を見たときは、別にかっこいいと思わなかった。

価格から想像するに、デザイン がそれっぽいだけで残念な質感であろう。

ダイヤル の感触も良いわけがなかろうと。


とはいえ、ちょっと気になる。

実際に Z fc 触ってみた。


「おっ! 惜しいところもあるけれど・・・(これは・・・いいぞ。)」

「この値段で・・・この質感は、なかなか・・・」


ボディは思っていたよりも作り込みの精度が高くシルバーの塗装も光の当たる角度で表情が変わって、チープさを感じないようになっていた。


「ボディの質感は個人的には全然ありだな、シャッター音はどうだろう?」


ファインダーを覗いて、シャッターを切ってみる。


「・・・」


「これは!・・・(買おう。)」


そう、心が呟いていた。


耳元を「フィルムカメラのようなシャッター音」が掠めていった。

フィルムカメラは前に2〜3回 シャッターを切ったことがあるぐらい、だけど Zfc のシャッター音はあの時と同じような手応えがあった。

「今までの デジタル一眼 でこういう音作りのカメラって無かったんじゃないか。」

この シャッター音 からは「開発陣の音に対する徹底したこだわり」が垣間見えた気がした。



それからというもの、ネットでは Zfc に似合いそうなレンズを何時間も探している自分がいた。

この時間だけは全てのことから、自分を解放することができるんだ」と彼は言う。

これは そんなカメラにまつわる、ちょっぴりホラーなお話。

Z fc に限らず、この体験は誰の身にでも起こり得る出来事なので、気をつけましょう。


|Z fc を触ってみて



使って楽しい、触って楽しい、眺めて楽しい、飾って楽しい、そんなカメラ。

フラッグシップ機 Z9 の上でもなければ下でもない、同じエントリー機 Z50 との間にも上下関係はない。

スペック競争のヒエラルキーから解き放たれ、自由の象徴となった Z fc は、撮影以外のところで「素晴らしいユーザー体験」を与えてくれます。

首からぶら下げて、上のダイヤルをなんとなくカチカチ回す →  楽しい

首からぶら下げて、天面をじっと見つめて眺めてみる → 楽しい


今までのカメラでの撮影も楽しいんですけど、こういう「楽しさ」ってあんまり無くて。

あくまで「撮影の作業のためにダイヤルを回す」というか。

天面をじっと見ても、「まぁ、・・・こんな感じね。」ぐらいにしか思わない

そういう意味では「潜在的な感情にまで、触れにきてくれる」、そういうカメラ だなという気がしています。


オールドレンズとの相性が抜群。



1982年に発売された Nikon 往来の名機 FM2。

約40年前のカメラをインスパイアして、再構築を施したカメラ なだけあって、マウントアダプターで「オールドレンズ」を付けると最高に楽しい。

他のカメラでもアダプターを付けてオールドレンズを楽しむことはできたし、問題なく綺麗に映せる。けれども撮影中に「なんか違うんだよな・・・。」と心の片隅で感じている自分もどこかにいた。


それはたぶん 自分が体験したいと思っているイメージ と、撮影中に体験しているイメージとの間に「ズレ」が生じているからなんだと思う。

Z fc だとこの「ズレ」がほとんど無くなったような感覚になり、 撮影により没入 することができます。

レンズとボディのダイヤルを回す感触に「ズレ」が無く、シャッターを切った時に伝わる振動と音にも「ズレ」が無い。

これが「 気持ちいい 」という感覚なんだと思います。

近代のカメラと比較して、レンズだけではなく「ボディを含めたユーザー体験」が得られるというのは、 Z fc の大きなアドバンテージです。


|クリエイティブピクチャーコントロールが楽しい


最近のトレンドでカメラメーカー各社、「エモーショナルカラー」に力を入れている気がします。

写実的で現実的な色で写したい時もあれば、自分の心を反映させてくれているようなエモーショナルなカラーで撮りたい 時もある。

クリエイティブピクチャーコントロール はいろんなカラーがあって、ちょっとフィルムチックな色になるので撮ってて楽しいです。

RAW現像でも後から似たような雰囲気にはできるけど、撮影中にファインダーでこういう画が表示されてたほうが、撮ってて楽しいんですよね。

これも撮影中での「イメージとの剥離」が少なくなって、ユーザー体験がより充実する大切な要素 の一つになっている気がします。

メランコリック -custom(Native JPEG)

モーニング -custom(Native JPEG)

ドリーム -custom(Native JPEG)

ピュア -custom(Native JPEG)

デニム -normal(Native JPEG)

トイ -custom(Native JPEG)

レッド -normal(Native JPEG)

サイレンス -normal(Native JPEG)

モノクローム -custom(Native JPEG)

チャコール -custom(Native JPEG)

グラファイト -normal(Native JPEG)

カーボン -custom(Native JPEG)

いままでのカメラもフィルターエフェクト的な機能はありましたが、こういう色はなかなか表現できなかったような気がします。

あとから RAW現像をしなければ手に入れられなかったクオリティ が、カメラ内だけで表現されてしまう。これが、地味にすごい助かる。

撮影から帰ってきて、パソコンに取り込んで終わりなので、すごい楽です。

クリエイティブピクチャーコントロールは適応する量もカスタムして追い込んでいくことができるので、しばらくは自分流にアレンジして楽しんでいくことになりそうです。


|Z fc を使ってみて


Z fc + オールドレンズ。

個人的にこの Z fc は「オールドレンズ専用機として使っていく」予定です。

レンズは マニュアルフォーカスのみ、ボディは 手ぶれ補正なし。

メイン機 ってわけではないけれど、スナップ機として重要なポジション を担ってもらうつもりです。


趣味に「ロマン」を。

バリアングルモニター を裏返して見えないようにしてしまえば、フィルムライクな体験 がより強くなります。

不便さは増すので 万人受けする使い方 ではないのですが、「より撮影だけに集中して楽しみたい」「今までとは 違う楽しみ方 をしたい」という方には おすすめの使い方 です。

失敗が許されない、失敗したくないという場面 では使えない。けれども、

失敗が許される、失敗しても良いという場面 では、これぐらい 不器用なカメラ で撮っているほうが 楽しい

「そのなかで 自分の気にいるような写真 が撮れていれば、それでいい。」


Z fc は趣味に「ロマン」を求めることができるカメラだと思います。


使う頻度はそれほど 高くないかもしれない。

部屋に飾って インテリア になっていることのほうが 多いかもしれない。

けれども、いろんな気づきがあって「 いいカメラに巡り会えたな 」って思えたので、末長く使っていきたいと思っています。





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